本ウェブサイトは2012年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです。[2012年3月]

手話・指文字から広がる世界

概要

子どもたちを取り巻く社会の中には、聞こえない人々の存在があります。こうした方々と出会い、直接かかわりを持つことは、豊かな人間性や社会性を築いていくためには、とても大切なことです。この学習では、手話や指文字をコミュニケーションの手段として習得し、互いに分かり合えるような関係作りをめざしています。

期間
2007年11月~2008年1月
対象
神戸大学発達科学部附属住吉小学校2年生
主催
大学院GPプロジェクト 委員会活動支援グループ、神戸大学発達科学部附属住吉小学校
お問い合わせ先
稲垣 成哲 (メール: inagakis@【続けて「kobe-u.ac.jp」を入力してください】)

院生スタッフ募集

この取り組みに参加してみたい院生は、「手話・指文字から広がる世界」学習支援などの附属学校支援事業スタッフ募集 (委員会活動支援グループ) を参照してみてください。

[事後] 報告・コメント

参加教員から

この単元で、子どもたちは初めて直接耳の不自由な方と出会いました。「どんな方かな」「自分の言いたいことどうやって話そう」など、不安がいっぱいのスタートでした。簡単な手話を教えていただき、相手に自分のことを伝えることのできた時「ああ、一生懸命伝えようとすること、そのことが相手に伝わるんだ。」そんな思いがわいてきたようです。

このように直接体験したことで、より指文字や手話を学ぼうとする子どもたちの意欲が感じられます。勿論指文字を習得することがこの学習の目的ではありません。指文字を通して、今自分がこの社会で何ができるのかを2年生の発達段階なりに学ぶことを大切にしたいと考えています。前回コンピュータを利用した学習活動を終えた子どものふりかえりに、次のようなことが述べられています。

「(中略) ぼくは、誰かのために役に立つ仕事がしたいと思います。そのためにも指文字もがんばりたい。」

自分たちのまわりの社会の状況を踏まえながら、このような考え方のできる子どもたちを、この取り組みを通して育んでいければと思います。

横野 悟 (神戸大学発達科学部附属住吉小学校 教諭)

参加院生から

2008年1月18日 (金) 実施分


支援風景

プログラム

昨日とは別の学級で、自己紹介、指文字を使ったしりとり、伝言ゲームを通しての交流会を行いました。私も、昨日と同様、来られた講師の方のご接待、ご案内、写真の記録を行いました。

担任の先生との打ち合わせの中でお話ししたことですが、子どもたちは耳の不自由な方とコミュニケーションを取りたいという気持ちから、自分たちで創意工夫をして講師の方との交流に臨んでいました。例えば、本時のはじめに、円形に置かれたイスに座ったまま指文字で自己紹介をする時間がありましたが、ある班の子どもは自己紹介が座ったままだと講師の方に見えにくいことに気がついて、円の真ん中に立って、講師の方の方を直接向いて自己紹介をするようにしていました。講師の方も、そのやり方が、分かりやすかったと思われたようで、指文字を使って自己紹介をする子どもに対して、しきりにうなずかれていたり、子どもたちを励ますジェスチャーをしてくださっていました。子どもたちのやる気と、それをサポートする先生、そして子どもたちにしっかりと関わってくださる講師の方のおかげで、質の高い交流の時間になったとを感じています。

子どもたちが、今回の単元だけで終わるのではなく、次の学年、そして中学校、高校、ひいては大人になってからも、体験を通して学んだことを、生かしていって欲しいと思いました。

三澤 尚久 (総合人間科学研究科 人間発達科学専攻 教育科学論講座 M2)

2008年1月17日 (木) 実施分


支援風景

本日は、神戸ろうあ協会から講師の方をお招きして、子どもたちとの交流会を実施しました。交流会では、自己紹介、指文字を使ったしりとり、伝言ゲームを行いました。

私は、前回に引き続き、来られた講師の方のご接待、ご案内、写真の記録を行いました。すでに2回目、3回目に学校に来られている方もおられ、担任の先生の説明や移動もスムーズに進みます。子どもたちも、前に来ていただいていたこともあって、浮き足立たず、落ち着いて関わることができていました。1回だけの単発の関わりではなく、複数回の関わりを持つことで、交流がスムーズに、より深まって行われていると感じました。

三澤 尚久 (総合人間科学研究科 人間発達科学専攻 教育科学論講座 M2)

2007年12月7日 (金) 実施分


支援風景

本日の活動で子どもたちは、口の形だけで言葉を伝えるよりも、「指文字」も使って伝える方が、耳の不自由な方にとってわかりやすいことを知りました。そして、その後「ゆびもじ練習 あいうえお」というソフトを使って、指文字で自分の名前を友達に紹介する練習を行いました。子どもたちはソフトウェアをスムーズに利用しながら、自分の名前や友達の名前、さらにはそれ以外の指文字を練習していきました。私は、そのための準備としてPCおよびソフトウェアの設定を行い、授業者との打ち合わせも行った上で、ソフトウェアの操作補助や写真による記録といった、授業中の支援活動を行いました。

授業の終わりには、子どもが、学んだ指文字を使って自分の名前を発表していきました。その発表を聞いている他の子どもたちが何度もうなずいている場面や、発表中に指文字を間違えた子どもに他の子どもたちが正しい指文字を教えている場面を見て、子どもたちが今日の授業でたくさんの指文字を覚えたことがわかりました。たった2時間の授業の中で、子どもたちがこれだけ多くの指文字を覚えられたことに驚くとともに、自分の支援が子どもたちの役に立ったという実感を持つことができました。


支援風景

三澤 尚久 (総合人間科学研究科 人間発達科学専攻 教育科学論講座 M2)

2007年12月4日 (火) 実施分

今回の附属学校支援では、耳の不自由な方を講師としてお呼びして、小学校2年生の子どもたちの授業に入っていただきました。この子どもたちは、耳が不自由な方と出会った経験はほとんどありません。授業の中で、子どもたちは積極的に講師の方と関わろうと、真剣に話を聞いたり、教えてもらった手話をがんばって練習したり、分からないことを質問をしたりしていました。今回の活動をきっかけに、子どもたちがそのような方ともっとコミュニケーションを取りたい、お互いに分かり合って行きたい、と考えるようになってきたと感じました。それは、子どもたちの具体的な姿として、「指文字や手話をはやくやってみたい」というつぶやきがあったことや、講師の方から習った「ありがとう」「さようなら」などの手話をさっそく使って講師の方と関わろうとしている姿があったことから、そのように考えています。このような、有意義な学習の場・出会いの場をつくるための支援ができて、私にとっても今後に生きる経験になったと感じています。

三澤 尚久 (総合人間科学研究科 人間発達科学専攻 教育科学論講座 M2)

Updated: 2009/04/21 (Tue) 16:27